遅刻した話し「極点踏破を敢行する」2008-02-04 Mon 01:24
その女は布団から出られなかった。
出たいという意思はあるのだが身体が動こうとしない。女は季節の変化に敏感だったので、外の気温が0度以下であることはすぐわかった。 再び、重い瞼を閉じると、そこには焼け野はらだけが広がっていた。 女は呆然と立ち尽くし、遠くを眺めながら冷えた身体を温ため、ある程度体力が回復するまでジッと待つことにした。 するとどこからか遠くのほうから一匹の兎がやってきて、女に告げた。 「金持ち貧乏ってどういう意味やん。大学内でよう聞くんやけど、中国人の言う「ないアルヨ〜」も、どっちやのか俺はそれが気持ち悪うくてしかたないんよ。」 女は兎を抱き上げ、 「私は凍えそうなの。あなたの白い毛皮は温かそうね」 と言った。 兎は、 「むしらんといてよ。ほなら、ぎょうさん鳥を連れてくるけ、後で迎えにきちゃるけんの」 と言った。 女は危惧の念を抱いた。 「鳥が迎えにくる?私は57キロもあるのよ?たくさん鳥がいたところで私が持ち上がるわけがないじゃない。」 兎は残念そうに 「ほよよ。せっかく誘ったんになんやん。遅れても知らへんわ」 と言い、女の腕から飛び降りるとどこかへ消えてしまった。 女は、身体を摩りながら、誰にも気付かれないまま何日も何日も過ごさなければならない不安を想像した。しかし少しずつ前に進まなくては。 何千マイルもある道を何日も何日も歩き続け、険しい坂道がひどく長い誰か助けちくりよ…。 すると、どこからともなく、ちっぽけな一軒の店が現れた。 薄暗い…。見覚えがある景色。 女は目をまるくして驚いた。 看板には「焼鳥屋」と書かれているのだ。 「これバイト先やないけ」 次の瞬間、重い瞼は開かれ女は跳び上がり時計を確認。今日は9時出勤。11時起床。 一面の銀世界に冷や汗をかきながらドア壊す勢いで飛び出した。そして誰かが作った雪兎を思いきり踏み潰した。 |
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